最近「ラットレース」という言葉を知りました。
この言葉を一度聞いただけで覚えてしまったのは丁度去年の今頃、私も被害にあったからです。
正社員というニンジン
無職になって2か月。派遣会社は仕事を紹介してくれません。
やっと紹介してくれた仕事は産休の代理です。
契約期間は2年
2年後はまた無職か・・・・。
でも私には「断る」選択肢はありません。いつまでも内部留保を取り崩していたら「私」という零細企業は倒産してしまいます。
派遣されて1か月、これから2年間一緒に仕事をしていく女性社員はとても親切に仕事を教えてくれた。たった2年だけど一緒に頑張りたいなと思った矢先、突然会社に来なくなった。
どうも子供ができたらしい。
引継ぎは期間はたった1日。それも電話のみ。しかも1時間という条件付き。1時間だけって・・・。
人生の選択権を派遣会社と派遣先に握られている50代の派遣社員は条件をのむしかなかった。
たった1時間の引継ぎで覚えられるわけがない。当然である。相手は勤続10年以上のベテラン社員。でもやるしかない。やっと決まった派遣先。たった1か月でまた無職になるなんて・・・。必死で頑張った。やらなきゃいけない。やらなきゃ生きていくことができないから。
なんとか頑張りが認められ、派遣先からは高い評価をもらえた。「就業評価は期待以上のレベルです」と。誰かから褒められたことなんて記憶にない。仕事でほめられた記憶もない。嬉しかったなあ。
派遣先の上司からは、正社員で働いてほしいと言われた。2年前から産休をとっている女子社員は絶対復帰しないから、99%退職しますから。その時は是非正社員で働いてください。
と、折あるごとに言われました。
ああ、これでやっと報われる。やっと正社員になれる。もう家賃の心配をしなくてすむ。大型連休の時も年末年始も祝日が増えても、給料が減らない。ボーナスももらえる正社員。
ただただ正社員という安定した収入がほしくて死に物狂いで頑張ったかいがあった。もちろん仕事自体が楽しいから頑張れたのは言うまでもありません。
ところが2年後・・・・・・。
「女子社員は退職しましたが、新しい派遣さんを雇ったから今後はその方に働いてもらいます。復帰してくる女子社員とはその派遣さんと一緒に仕事をやっていただきますので、あなたとは契約しません。」
と言われました。
勤務最終日、派遣先上司から呼ばれました。
上司は 「ごめんね。会社の事情が変わってしまって。」
私は、「ずっと続けたかったんですが、残念です。」
そしたら上司はこういいました。
「それが派遣ですから。」
と。
さらにこういわれました。
「あなたのお住まいはたしか○○でしたよね?なら、もう二度とお会いすることはないと思います。」
今、やっとわかりました。
私は、目の前に正社員というジンジンをぶらさげられて都合よく使われていただけだったのです。
だからそのニンジンにかぶりつこうとした瞬間に取り上げて、他の馬に食べさせたのです。
この時私は、人間不信、会社不信、世の中不信。
ありとあらゆるものが信用できなくなりました。
好き好んで派遣をやっている人はこの世にいません。
3か月ごとに家賃を滞納しなければならないという恐怖に怯える毎日を、幸せだと感じる人などいるのでしょうか?
正社員だってリストラされる時代
正社員だってリストラされる時代というけれど、それでも正社員の方が安泰です。
何かあったとき真っ先にやられるのが派遣ですから。正社員は必ず切られるわけではない。
それに派遣は何もなくても期限が来れば必ずクビになる。
3年ルールで直接雇用という法律ができたじゃんていうけどそんなのは建前。派遣切りできる抜け穴はちゃんと用意されています。運が良ければ契約社員で声がかかる場合もあるけど、雇用契約内容はバイト以下の悪条件。契約社員の話を持ち掛けれたけど断ったと聞くことが多い。企業にとって都合のいい派遣切り制度。
正社員になれたケースなんていうのも聞いたことない。
一体だれのこと?多分若い子だろう。
正社員になりたい理由
年を取ると特殊なスキルがないと雇ってくれるところはなくなる。
だから、一人で一生働かなければならない私は何としても正社員になりたかったのです。
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